Il neige !

「雪が降ってるよ！」夫にそう言われ、ベッドから起きて窓から道路やアパルトマンのバルコンに積もった雪を眺めた。パリに雪が降っている。珍しいことだ。幼少期、韓国で年越しを祖母の家で過ごすことが多かった。その時のことを思い出す。いとこと集合住宅地の駐車場で雪だるまを作ったり、雪合戦をした。

今日は近くの公園に行ってみた。公園に行くと生後数ヶ月の息子を連れ、雨の日も風邪の日も、誰もいない公園で豪快に遊ぶ息子をみて途方に暮れていたワンオペ生活を思い出す。あの頃は一歳にもならない子どもとどう遊べばいいのかわからず、わたし自身も公園での遊び方を忘れてしまっていた。庭師とわたしたちしかいない冬の公園で何度も、何度も、「何をしているんだろう」と思っていた。何度も自分だけの時間が欲しいと願っていた。それほど無理をしていたんだと今なら思う。ひとりの時間は息子が寝ている時間だけだと思っていたがそんなことはなくわたしも疲れて一緒に寝てしまうのだった。

ある日、お兄さんが砂場で柔道の練習をしていた。息子が近寄るとでんぐり返りを教えてくれた。その日から息子は覚醒されたかのように毎日練習していた。たくさん壁や地面にぶつかってコブも出来た。子どもは観察の天才だ。それに、新しいことや発見が好きだ。乾きに近い執着を感じる。必要としている素直な理由がある。筋トレって多分それがすべてだ。わたしも息子と鍛えた筋力があるんだろうなと思った。筋力って言葉は簡単なのについてる感覚は本当にパッとしないなと思う。わかりやすくムキムキになってくれたらいいのに。わたしが公園でつけた筋力は忘れていたものを思い出すものなのだと思う。